アメリカに留学すると、必ず耳にするのが ソーシャルセキュリティーナンバー(SSN: Social Security Number)。銀行口座、クレジットカード、携帯電話契約などで求められることがあり、「留学生も必ず必要なの?」と不安になる方も多いはずです。
実際には、留学生は必ずしもSSNを持っているわけではありません。本記事では、F-1ビザを中心とした留学生のSSN事情についてわかりやすく解説します。
SSNとは?
SSNはアメリカ政府が発行する個人識別番号で、本来は年金や税金の管理のために使われていました。
しかし現在では、身分証明や金融サービスの利用にも広く用いられています。
アメリカ人や永住者は全員持っているのが当たり前の番号ですが、留学生はそうではありません。
The United States Social Security Administration
留学生はSSNを取得できる?
結論から言うと、F-1やJ-1の留学生は「働くとき」に限って取得可能です。
具体的なケースは以下の通りです。
- キャンパス内のアルバイト(大学図書館、ジム、カフェなど)
- CPT(Curricular Practical Training):授業の一環として行うインターンシップ
- OPT(Optional Practical Training):卒業後や在学中に許可される就労
一方で、単に「留学しているだけ」や「奨学金をもらっているだけ」ではSSNを取得することはできません。
SSNがなくても生活できる?
多くの留学生が気になるのは、「SSNがないと生活できないのでは?」という点です。
実際には SSNがなくても生活は可能 です。
- 銀行口座 → パスポートやI-20で開設できる銀行も多い
- 携帯電話契約 → SSN不要で契約可能なプリペイドプランもあり
- クレジットカード → 留学生向けに「SSN不要」で作れるカードも存在
ただし、SSNがあると手続きがスムーズになり、将来のクレジットヒストリー構築にも有利になります。
SSNがないとできないこと
留学生はSSNがなくても多くの生活は可能ですが、一部のことはSSNなしではできない、あるいは制限がある場合があります。代表的な例は以下の通りです。
- 就労(給与を受け取る仕事)
- アメリカ国内で合法的に働く場合、給与の支払いや税務処理にSSNが必須
- キャンパス内アルバイト、CPT、OPTなどの給与を受け取る仕事で必要
逆に無給インターンやボランティア活動はSSN不要の場合もあります
- 正規のクレジットカード申請
- クレジットスコアを照会するため、多くの銀行・カード会社はSSNを要求
- SSNがないとクレジットヒストリーが作れず、将来のローンや住宅契約で不利になることも
留学生向けのSSN不要カードも存在しますが、選択肢は限られます
- 銀行口座の開設
- 大手銀行ではSSN必須の場合あり
- ただし、留学生向けプログラムや地域銀行・信用組合ではパスポート+I-20/I-94で開設可能
- 税務申告
- アルバイトやOPTで収入がある場合、税務申告にはSSNが必要
- SSNがない場合は、代替として ITIN(Individual Taxpayer Identification Number) をIRSに申請する必要があります
- 携帯電話ポストペイド契約
- 大手キャリアでは信用審査のためSSNを要求することが多い
- SSNなしでは契約不可、または高額なデポジットが必要になる場合あり
- 運転免許証の取得(州による)
- 州によっては免許取得時にSSNが必要
- SSNがない場合、SSA発行の「SSNを取得できないことを証明するレター」を提出すれば取得可能な州もあります
まとめ
特に影響が大きいのは 就労・税務・クレジットカード。
生活インフラ(銀行口座・携帯・運転免許)は工夫すれば代替手段がありますが、将来的にアメリカで働いたりクレジットヒストリーを築いたりしたい場合は、早めにSSNを取得するのがおすすめです。
SSN取得の流れ
留学生が雇用(キャンパス内アルバイト、CPT、OPTなど)を始める場合、SSNを取得する必要があります。申請の流れは以下の通りです。
- 雇用証明を準備する
- 雇用主から オファーレター(Job Offer Letter) や雇用契約書を受け取ります。
- オファーレターには勤務開始日、ポジション、給与の有無が明記されている必要があります。
- CPTやOPTの場合は、I-20フォームにCPT/OPTが承認されていることを確認します。
- 大学の国際オフィスに相談する
- SSAでの申請時に、大学の 国際オフィス(International Student Office / ISO) から推薦状をもらう場合があります。
- 推薦状には「この学生は合法的に雇用される資格がある」という内容が書かれます。
- 初めてSSAに行く場合や、SSA職員が留学生ビザに慣れていない場合は、推薦状があると手続きがスムーズです。
- SSAオフィスで申請する
- 最寄りの Social Security Administration (SSA) オフィス に行き、申請用紙(Form SS-5)を記入して提出します。
- 提出する必要書類:
- パスポート
- I-20フォーム
- I-94(入国記録)
- 雇用証明書(オファーレターやCPT/OPT承認書)
- 注意点:
- SSAによっては予約が必要な場合があります。事前にウェブサイトで確認しましょう。
- 申請時に SSN番号自体は即座に発行 されますが、カードは郵送されます。
- カードの郵送を待つ
- 申請後、通常 2〜4週間 で自宅にSSNカードが届きます。
- 配送先はI-20に登録されている住所が基本です。
- カードが届くまでの間、雇用主に「番号は発行済みだがカードはまだ届いていない」と伝えれば、給与処理や税務手続きも通常通り行えます。
- 必要に応じてSSAで SSN番号発行済みのレター をもらえる場合があります。
まとめ
SSN取得は「書類準備 → 国際オフィス確認 → SSA申請 → 郵送受取」の流れで行います。
留学生にとって初めてのSSA訪問は不安ですが、事前に書類をそろえ、国際オフィスに相談しておくとスムーズです。
番号は即発行されるので、カードが届く前でも就労手続きは進められます。
注意点
- 番号は一生有効:一度取得すれば、ビザが切れても同じ番号を使い続けます
- 厳重管理が必要:漏洩すると身分盗難のリスクがあるため、持ち歩かず安全に保管すること
- ITINとの違い:SSNが取れない場合でも、税務上の理由で必要なら「ITIN(Individual Taxpayer Identification Number)」を申請できます
まとめ
- 留学生は 働くときにのみSSNを取得可能
- SSNがなくても留学生活はできるが、持っていると便利
- 将来的にアメリカで働くことを考えている人にとって、クレジットヒストリー構築の点でも価値がある
初めての留学生活では不安も多いですが、「自分にとって今SSNが必要かどうか」を冷静に判断することが大切です。
免責事項
本記事の内容は、筆者の調査や経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。
移民法や社会保障制度に関する公式な助言ではありません。
最新の情報や正確な手続きについては、必ず 大学の国際オフィス、Social Security Administration (SSA)、または 移民専門の弁護士 にご確認ください。
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